会社の体制に賛同できない、思うように意見が通らない、という理由で転職を考える人は多いでしょう。そういう人は、前の職場で温めてきた能力を発揮し、転職によって大きな成果を出すケースがあります。実際、前職で成果に見合う評価を受けていないと感じて転職した結果、年収が増えたとの経験談もしばしば聞くものです。
しかし、転職にはリスクが付きます。転職を意識していると手に入れられるものばかりに目が行きますが、失うものにも目を向けましょう。
会社を移ることは、年収アップや企業のネームバリュー、働きやすさがメリットになる一方、今までの会社で当然に思っていたことが当たり前でなくなることもあるからです。
特に、大企業からスタートアップ企業への転職、もしくは逆方向への転職のときに、このリスクとリターンの差は顕著になります。
具体的には、大きな会社では労働組合が大きく、社員の労働条件を守ってくれるのが「普通」です。そして、大きな組織に所属しているという連帯意識を感じられます。
一方、スタートアップ企業では、労働組合のような社員を守る組織は無く、労働交渉で社員自らが矢面に立たねばならない場面も少なくないでしょう。
裏を返せば、大きな会社は意思決定が遅くなりがちですが、スタートアップなら風通しがよく自分のアイデアを通しやすい、というメリットもあります。
自分が転職で得ようとしているものと引き換えに、何を失おうとしているのかにも意識を向ける必要があります。